改善傾向のリスクセンチメント どこまで円高を調整できるか

Market Overview

8日の海外外為市場では、米ドルの売り買いが交錯する展開となった。ドラギECBは予想通り政策金利の据え置きを決定。注目された資産買い入れ政策の期限延長に踏み込む意思も示さなかったことでユーロ買い圧力が強まった。しかし、今年最高値1.1616を起点としたレジスタンスラインで上値がレジストされた。そしてロンドンフィキシング前後からは米ドル買い圧力も強まり、ユーロドルは1.1325レベルから1.1240レベルまで下落する展開となった。101円後半でこう着状態だったドル円もロンドンフィキシング後は米ドル高優勢の展開となり102.50を突破する局面が見られた。

他の市場動向だが、欧州株式はドラギECBの決定を受け強弱まちまちの展開に。米国株式は上値の重い欧州株式や投資判断の引き下げが伝わったアップルやナイキの下落を背景に続落。ただし、米利上げリスクが後退していることもあり下落幅は限定的だった。原油先物相場(WTI10月限)は米国の石油在庫減を受け大幅に続伸(終値:47.62)。米金融政策の方向性を織り込みやすい2年債利回りはドラギECBの決定や原油価格の上昇に呼応し、0.78%台まで上昇する局面が見られた。

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Analyst's view

ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は理事会後の記者会見で、現行の資産購入プログラム(月間800億ユーロ)の期限延長について議論されていないことを明らかにした。期限延長を期待していた欧州株式が総じて軟調地合いとなったのは当然の反応だったが、その下落幅は限定的。米国株式も同様の展開となった。一方、原油先物相場をはじめとした国際商品市況の反発基調が継続している点も考えるならば、リスクセンチメントに悪化の兆しは見られない。

上記の点は、昨日の円相場も如実に示している。海外時間では米株安とドル買いが同時に発生。過去の経緯を振り返るならば、クロス円を中心に円高優勢の展開となってもおかしくなかった。しかし、実際はドル円の上昇に連動し、クロス円も円安優勢の展開となった事実は、「ドル高リスクの後退→株高継続期待&国際商品市況の反発期待」を背景に、リスクセンチメントがしっかりしていることを示唆している。9月の米利上げ確率が21%程度(CME FED Watch)で推移し、且つ来週後半まで米国の重要指標データの発表がないことも考えるならば、ドル高リスクが過度に高まる可能性は低いだろう。よって、来週半ばまではグローバル株式市場と国際商品市況も大きく値崩れする可能性は低い。その後(=来週後半以降)は米指標データおよび日米の金融政策への警戒感が高まることで、グローバル株式市場では調整圧力が強まることが想定される。よって、目先の円相場の焦点は「株高+国際商品市況反発」地合いが続いているこの時に、年初から進行した円高をどこまで調整できるか、この点にあろう。
ドル円は21日MA、ユーロ円はサポートライン(=トライアングルの下限)によりそれぞれサポートされている点を考えるならば、テクニカル面でも調整シグナルは点灯している。ドル円はレジスタンスライン(=ディセンディング・トライアングルの上限)および一目/雲の下限(日足)、ユーロ円は一目/雲の上限(日足)およびレジスタンスライン(=トライアングルの上限)の突破に成功すれば、円高調整地合いが一気に加速する可能性が高まろう。


【ドル円チャート】黄ライン:21日MA 青ライン:10日MA

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【ユーロ円チャート】

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