ドラギECBの決断と株式動向

Market Overview

7日の海外外為市場は、米ドルを買い戻す局面が散見された。欧州中央銀行(ECB)理事会を前に米ドルショートを調整する動きとなり、ユーロドルは1.1270レベルから1.1220台まで米ドルの買戻しが進行した。ポンドドルも1.34手前から1.3320前後までドル高優勢の展開となった。一方、ドル円は101.80台まで反発する局面が見られたものの、9月日銀会合の不透明感が重石となり102円再上昇には失敗。101.70台でこう着状態のまま本日の東京時間を迎えている。尚、米地区連銀経済報告(ベージュブック)は、前回7月の報告と同様の見方を維持(=緩やかな拡大が続いたとの総括判断を維持)したことで、外為市場では材料視されることはなかった。

他の市場動向だが、欧州株式はドラギECBによる緩和強化期待を背景に総じて堅調に推移した。米国株式は利益確定売りに圧される展開に。ダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに小反落した。原油先物相場(WTI10月限)は石油輸出国機構(OPEC)非公式協議における生産調整期待を背景に続伸。堅調な原油相場はロシアルーブルの支援要因となった。米金融政策の方向性を織り込む2年債利回りは0.73%台での低空飛行が続いた。

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Analyst's view

原油先物相場をはじめとした国際商品市況(CRB指数)は反発基調にあり、グローバル株式市場も大きく崩れるムードは感じられず、さらに外為市場ではリスク性の高い資源国&新興国通貨が対ドルで堅調に推移中。リスクセンチメントが改善傾向にある主因はドル高リスクの後退にあろう。冴えない米指標データが続いたことでイエレンFRBによる9月FOMCでの利上げ確率は15.0%前後まで急低下中(CME FED Watch)。少なくとも金利先物市場ではドル高リスクが再燃する可能性は低く、目先の株式市場は堅調地合いを維持する公算が高い。

その公算をさらに高める材料として本日注視すべきは、ECB理事会だろう。2017年3月までとしている現行の金融緩和政策(=月間800億ユーロの資産購入)の期限を延長してくるとの市場観測があり、実際に緩和期間の延長に踏み切れば欧州株式のサポート要因となろう。欧州株高となれば米株も追随する可能性が高い。米早期利上げ観測が後退しているタイミングでの緩和期間延長程度ならば「欧州通貨売り→ドル高」も限定的となろう。ユーロドルは一目/雲(日足)で引き続きサポートされる展開を想定したい。
尚、日銀同様、ECBも株式(ETF)購入に踏み切る可能性が一部で示唆されている。カバード債、資産担保証券(ABS)、ソブリン債、機関債、地方債そして社債にまで購入資産を拡大して尚、インフレ率が低迷していることを考えるならば選択肢としてはありだろう。しかし、ドイツサイドがこれを受け入れる(=ドイツ連邦銀行が株式リスクの受け入れ先となることを容認する)可能性は低いと思われる。

円相場は、株高を背景とした円高の調整地合いがどこまで進行するか、この点が引き続き焦点となろう。米利上げ観測の後退と9月日銀会合の不透明感が合わさり今週はドル円が円高のドライバーとなってきた。しかし、昨日海外外為市場では21日MAをローソク足の実体ベースで維持することに成功し、クロス円も戻り基調にあった。株高維持と国際商品市況が反発しているこのタイミングで円高調整地合いが強まらなければ、ドル円の100円割れ再トライは時間の問題となろう。ドル円と同じく一目/雲(日足)で上値がレジスト状態となっているユーロ円は、トライアングルの下限を下方ブレイクするだろう。


【ドル円チャート】黄ライン:21日MA

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【ユーロ円チャート】

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