ドル相場を左右する2つの材料

Market Overview

「戦力の逐次投入はしない」と明言していた黒田日銀による小出しの追加緩和は、むしろ政策能力の限界を露呈し、「円高・株安」圧力を強める結果に。また、4-6月期の米GDP速報値が予想外の減速(前期比年率  予想:+2.5%、結果:+1.2%)となったことを受け、米利上げ観測はさらに後退。これを受け29日のドルインデックスは大陰線が出現。再び200日MAを下回る展開となっている(下チャート参照)。

このままドル安再燃となるかどうか、今週は2つの材料がその鍵を握ろう―

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Analyst's view

焦点①:BOEイベント

ひとつは英国の金融政策だ。今週4日にBOEの政策会合が予定されている。前回の会合では苦渋の利下げ温存を余儀なくされたカーニーBOEだが、今回の会合では利下げに踏み切る公算が高まっている。資産買い取りプログラム増額の可能性も否定はできないが、今回のBOEイベントで筆者が最も注視しているのは、年内にさらにもう一回利下げの可能性を示唆してくるかどうか、この点である。「BREXITショック」のネガティブインパクトが英国経済に明確に表れ始めるのは年後半以降である。それに対しプロアクティブに追加の利下げスタンスを強調する可能性はあろう。カーニー BOEが先行き不透明感と利下げスタンスを強調してくるならば、ポンドには売り圧力が強まり、対ドルで節目の1.30を再び下方ブレイクする可能性が高い。
また、利下げスタンスの表明はドラギECBの金融緩和強化(9月?)も市場に想起させよう。その結果「欧州通貨売り→ドル買い」という、7月中旬以降見られたトレンドが再現される可能性がある。ドル高再燃となれば、「ドル高→株式&国際商品市況下落→円高再燃」のシナリオを警戒したい。

 

焦点②:米指標データ

BOEイベント以上に注視すべきは、米指標データである。想定されるドル安シナリオは2つ。理想的なシナリオは、ISM製造業指数(7月)や雇用統計(同月)の内容が総じて市場予想の範囲内でおさまることだろう。この場合、FEDの早期利上げ観測を高める程のインパクトはなく、緩やかなドル安継続要因となろう。円相場は、クロス円を中心に円高圧力が後退することで、先週後半の円高調整地合いが散見されよう。ドル円(USD/JPY)はクロス円にサポートされるだろうが、一目/雲(日足)や今年最高値121.69を起点としたレジスタンスラインの突破は難しいだろう。

一方、リスクシナリオは、GDP速報値に続き市場予想を大きく下回る内容が続いた場合だろう。このケースでは、利上げ観測の後退よりも米景気先行き不透明感の方が市場で強く意識され「株安→米金利低下→ドル安」の展開が想定される。「リスク回避のドル安」はリスク選好の先導役不在を意味する。よって外為市場では円高圧力が強まろう。ドル円(USD/JPY)は節目の100円再トライを常に警戒したい。

また、米指標データに関してもうひとつのリスクシナリオとして注視すべきは、強すぎる内容が続いた場合だろう。8月下旬にジャクソンホール(イエレン講演は26日を予定)を控えていることを考えるならば、このケースでは、FEDによる早期利上げ観測が強く意識されよう。欧州通貨売り以上のドル高リスクの高まりとそれに伴うリスク回避トレンド(=ドル高リスク→株式&国際商品市況が下落→円高再燃)に警戒したい。

 

【ドルインデックス日足チャート】  

ドルインデックス

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