決戦は木曜日

Analyst's view

今週最大の焦点は、23日に英国で実施されるEU離脱の是非を問う国民投票だろう。日本時間の24日午前6時に投票が締め切られ、同午前10時頃から大半の選挙区が結果を発表し、同午後3時頃までにすべて判明する予定となっている。尚、集計方法は、各選挙区(382選挙区)の結果が12地区にまとめられ、さらに全国の結果が集計される。最終結果は、開票責任者がマンチェスターで発表する。6月に入り各世論調査において離脱派の勢いが増しているとの報道が散見される一方、ブックメーカーのオッズは残留が離脱を下回っている(=最大手Williamhillの最新オッズは残留が1.36倍、離脱が3.20倍)。これら錯綜する状況がマーケットの不安心理を高め、イベントリスクに敏感なVIX指数は13.00-18.00のレンジを先週一気に上方ブレイクした。

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決戦の木曜日の前までは、観測報道により英ポンドとユーロの売り買いが交錯しよう。前者の想定コアレンジは1.40-1.48、後者のそれは1.1100-1.1500。この想定レンジで注視すべきは、上昇の方をより強く意識している点だ。不透明感が増す中、なぜその点を意識するのか?それは、以下3つの理由から、ある程度リスクを織り込んできた可能性が高いと判断しているからだ。

①ポンドドル(GBP/USD)は、16日にトレンド転換シグナルの「陽のトンボ」が出現。4月に続き節目の1.40台の維持に成功した。それだけでなく17日には大陽線が出現し1.4388レベルまで急反発している。
②ユーロドル(EUR/USD)も16日に長い下ヒゲが出現し、節目の1.1100の維持に成功。週明け早朝は、13日以降相場をレジストし続けてきた1.1300を完全に上方ブレイクしてのスタートとなった。
③上述したVIX指数も直近は低下傾向にある。

では、予想外に両通貨ペアが底堅さを維持している背景にあるのは何か?
それは、米利上げペースの後退による「ドル安」だろう。事実、米ドルの方向性を示すドルインデックスは5月以降、反発局面は見られるものの、今年最高値を起点としたレジスタンスラインに見事に上値がレジストされ続けている(チャート参照)。FED自身による利上げペースの下方修正(昨年12月時点では年4回ペース。しかし最新のドットチャートでは年1回のみの利上げを予想する当局者が3月FOMC時点の1人から6人に増加している状況)が、このようなトレンドを生み出していることは明白。昨年12月時点からハト派に傾いている理由は米国外のリスク要因を意識しているためだが、それでもイエレン議長が利上げスタンスを維持する理由は、FED内の主要テーマが「ドル高」ではなく「金融政策の正常化」にあるからだろう。「ハト派の4月FOMC声明」と「タカ派の4月FOMC議事録」のギャップがその点を示唆している。つまり、FEDサイドは「ドル高を誘発しない利上げ」を望んでおり(=イエレンFRBに理解を示すオバマ大統領が現職である内に少しでも金融正常化を推し進めたいという危機感がある一方、利上げによりグローバル市場の混乱は引き起こしたくないことを望んでおり)、それがポンドやユーロ売り圧力の相殺要因となっている構図が垣間見れる。この点については、今月10日のレポート「ドル安 VS 英国リスク」でも指摘済み。「ドル高を誘発しない利上げ」がFED内の主要テーマであり、それを具現化したのが現在のドルインデックスチャートである点を考えるならば、英国がEUに残留した場合、24日のグローバル市場はリスク選好の土台である「ドル安」を踏み台にリスク選好一色の展開(=株高・商品高)となろう。ポンドドル(GBP/USD)は1.50台への再上昇を想定。その後の調整圧力を受けて尚、1.50台を維持する展開となれば、2015年のレジスタンスポイント1.58レベルまで反発する可能性があろう。ユーロドル(EUR/USD)は1.16のレジスタンスポイントをローソク足の実体ベースで突破する展開が想定される(オーバーシュートした昨年8/24及び今年5/3はともに上ヒゲでの突破にとどまった)。1.16台の滞空時間が長くなれば、1.17台を視野に上昇幅が拡大しよう。

一方、円相場はクロス円が円安のけん引役となろう。だがドル円は、ドル安圧力が株高を背景とした円売り圧力の相殺要因となるため、5-6月の高安の半値戻し107.50レベル及び108円のレジスタンスポイントを突破出来るかどうか、まずはこれらの点に注目したい。

【VIX日足チャート】

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【ドルインデックス日足チャート】

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