米株が左右するドル円のトレンド

Market Overview

26日の海外外為市場はドル相場、円相場ともに売り買いが交錯し明確な方向感は見られなかった。この日の原油価格(WTI7月限)は、昨年10月以来となる50ドル台を回復したものの(高値50.21ドル)、達成感から小反落。一方、グローバル株式市場では欧州株式が引き続き堅調に推移したものの、米国株式は利益確定売り優勢の展開に。これら株式動向を受け、欧州タイムは円安優勢だった円相場も、NY時間では総じて円高優勢の展開となった。ドル円(USD/JPY)は引き続きレジスタンスラインで上値が抑制される状況が継続し、高値110.23から109.50台まで反落する展開となった。一方、ドル円同様、ドルインデックスも今年最高値99.83を起点としたレジスタンスラインで上値がレジストされ反落。今後はこのラインの攻防がテクニカル面での注目点となろう。

この日の米債券市場は、原油価格の反落と米株の上値の重さが意識され、各ゾーンの利回りが低下。米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは、18日以来となる0.8670%まで低下する局面が見られた。

bg_us stocks new 1

Analyst's view

ドル高圧力を跳ね除け、原油価格(WTI7月限)は大台の50ドル回復に成功。原油価格の再不安定化要因として最も注意すべき中国市場だが、上海株式は5月上旬以降2,800ポイント台でレンジ相場を形成中。ドル/人民元(USD/CNH)も直近は元高傾向にあり、落ち着いた状況となっている。一方、現在のリスク選好の先導役である米株は、早期利上げに対する思惑がむしろ金融セクターの押し上げ要因となる等、高値圏を維持している。これら市場動向を反映し、投資家の不安心理を表すVIX指数もレンジの下限である13ポイント台で推移している状況も考えるならば、目先、円高リスクが再燃する可能性は低いだろう。よって、ドル円(USD/JPY)は108.00-112.00を目先のレンジ(コアレンジは109.00-110.50)と想定し、目先は攻防分岐であるレジスタンスラインでの神経戦を注視する展開となろう。

円高圧力が急速に強まるならば、その要因は米株の下落にあろう。26日のレポートで指摘した通り、米株は5月以降のドル高局面で、主要な株式市場の中では米利上げ懸念(=ドル高懸念)を跳ね除けている唯一の市場である。対照的に他の株式市場、特に新興国市場は、上値の重い展開となっている。実際、比較チャート①をみると「ドル安=新興国株高」「ドル高=新興国株安」という関係が一目瞭然。また、比較チャート②では、世界の株式パフォーマンス(MSCI)とドルインデックスの動向を比較しているが、ドル相場と新興国株式と同じ状況が見て取れる。つまり、ドル高懸念を跳ね除けている米株が崩れるならば、グローバル株式におけるリスク選好の先導役が不在となることをこれら比較チャートは示唆している。

本日と来月6日のイエレン講演で利上げに向けたシグナルが発信された場合、そして来週の米指標データが総じて良好だった場合、6月14-15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が高まることで米金利とドル相場にはさらなる上昇圧力が強まろう。その際、米株が現在のトレンドを維持できるならば、ドル円(USD/JPY)はレンジの上限112.00を目指す展開が想定される。逆に米株が崩れるようならば、レンジの下限108.00をトライを想定したい。

【比較チャート①】赤ライン:新興国株式(MSCI) 緑ライン:ドルインデックス

fundamental_05272016_01

【比較チャート②】青ライン:世界株式(MSCI) 緑ライン:ドルインデックス

fundamental_05272016_02

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • レバレッジ取引を行う

    レバレッジを利用することで、比較的少額の初回支払金額でどのように金融市場に大きなエクスポージャーを得ることができるか学びます。レバレッジは利益を増幅させることができますが、同時に損失リスクも増大するため、利用には注意が必要であることを説明しています。

  • 取引の前に

    金融取引において心理状態は重要な要素であり、どのように取引を理解し反応するかが成功に大きな影響を与えます。ここでは、取引での心理状態についていくつかの要素を紹介し、気を付けるべき一般的な過ちを確認していきます。

  • 外国為替の基礎知識

    世界最大で最も流動性の高い金融市場の仕組みについて理解します。どのように国際通貨が取引されているかをご説明し、ポピュラーマーケットの取引を開始する前に知っておくべき重要ポイントを押さえます。