「リスク回避のドル高」に要注意

Market Overview

19日の海外外為市場は引き続きドル買い優勢の局面が見られた。ドルインデックスは、3月29日以来となる95.50レベルまで上昇。ユーロドル(EUR/USD)は1.1180レベルまでドル高が進行した。また、ドル高圧力は原油価格をはじめとした国際商品市況の重石となったことで、ドル買い / 資源国&新興国通貨売りの展開に。一方、円相場は売り買いが交錯し大きな変動は見られなかった。ドル円(USD/JPY)は欧州タイム前に110.38まで上昇する局面が見られたが、欧州タイム以降「株安 / 商品安」となったことを受け、円買いが断続的に入る展開となった。

欧米株式市場は総じて軟調地合いとなった。米利上げ観測の再台頭や国際商品市況の下落が相場の重石となった。一方、米国債券市場では、各ゾーンの金利が低下した。先週より反発基調が続いていただけに、6月の利上げ観測よりも「株安 / 原油価格続落」の方に反応した。

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Analyst's view

110円台への回復を果たしたドル円(USD/JPY)だが、クロス円で大きな変動がない点を考えるならば、上昇のけん引役はドル高にある。実際、ドルインデックスとUSD/JPYの動向を比較すると、5月以降のドルショートカバーにUSD/JPYが連動していることがわかる。昨日はダドリーNY連銀総裁が「6月利上げ」の可能性にあらためて言及。強弱まちまちの内容が続く米指標データを無視し、ドルインデックスが目先の重要レジスタンスポイント96.50レベルを視野に入れる展開となっている事実は、米利上げを意識した「FOMCトレード」へ外為市場がシフトしていることを示唆している。

しかし、来月のFOMCを意識しドルインデックスの上昇が継続しても、USD/JPYがこれまで同様その動きに追随出来るとは限らない。現状、ドル高は株式市場と国際商品市況のネガティブ要因となるからだ。実際、昨日のグローバル株式市場は総じて上値の重い展開となり、NY原油先物(6月限)は続落した。中国市場では先行き不透明感を背景に上海株式が4週連続の陰線となり、人民元相場(CNH)は5月以降のドル高圧力の高まりを受け、2月上旬の水準(6.58レベル)まで人民元安が進行中(昨日は人民元高)。投資家の不安心理を表すVIX指数は13-18ポイントのレンジ内で推移しており、リスク回避圧力が急速に強まるムードはないが、ドル高の進行がその圧力を強める可能性は十分に考えられる。

18日以降、ドルインデックスとUSD/JPYには乖離幅拡大の兆しが確認できるが、これは米株や原油価格続落のタイミングと一致する。「FOMCトレード」を背景に「リスク回避のドル高」となれば、USD/JPYはクロス円の下落に引きずられ、再び下値トライとなってもおかしくない。テクニカルでも、昨日50日MA及び日足の一目/雲の下限手前で上値がレジストされた点が気がかり。


【比較チャート】緑ライン:ドルインデックス 赤ライン:ドル円(USD/JPY)

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