気になる2つの乖離

Market Overview

23日の海外外為市場は、資源国&新興国通貨売りの展開となった。背景にあるのは原油価格の急反落だった。サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相はこの日、同国が原油生産量を減産しないと明言(イランのザンギャネ石油相が同国に増産凍結を求めるのは「冗談みたいなものだ」と述べたとの報道もあり)。これを受け原油価格が急反落すると欧米株式も軟調地合いとなり、投資家のリスク許容度が縮小。結果、外為市場では資源国&新興国通貨への売り圧力が強まった。また、EU離脱リスクに直面する英ポンドも対ドル、円そしてユーロで下落した。

一方、円相場はアジア時間から強まった円高の流れが継続した。USD/JPYは112.00を挟み上値の重い展開に。クロス円ではGBP/JPYが上記リスクを背景に2013年11月上旬以来となる157円割れの展開となった。対照的にEUR/JPYは堅調に推移した。対ドルやポンドでのユーロ買いが対円に波及したかたちとなり、123円ミドル前後まで値を戻し本日の東京時間を迎えている。

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Analyst's view

上述の通りサウジアラビアサイドから減産についての否定的見解が示されたことで、WTIはダブルボトムのネックライン35ドルレベルをトライすることなく急反落。重要レジスタンスポイントの38ドルすら突破出来ないタイミングでの「減産否定」は、今後も原油価格の不安定化を継続させる可能性を高めよう。

現在、筆者の興味を惹いているのが2つの乖離だ。ひとつは、グローバル株式市場(MSCI)と国際商品市況(CRB指数)の乖離が再び広がっていることだ。比較チャート①を確認すると、昨年10月以来となる乖離の拡大傾向が確認される。過去の経験則や年明け以降、原油価格と株式市場間で順相関関係が見られる点も考えるならば、今回発生している乖離も株式市場の下落により収斂される可能性が高いだろう。もうひとつ気になる乖離がある。米株と長期金利のそれだ。比較チャート②でその点を確認すると、米経済の失速懸念を背景に長期金利が低下基調を維持する一方、米株(S&P500)は上下に振れる不安定な状況となっている。「減産」否定を背景に原油価格が今度も不安定化する可能性がある点も考えるならば、この乖離も米株の下落というかたちで収斂されよう。

上述した乖離の収斂シナリオ(=リスク回避要因)に加え、現在は英国のEU離脱リスクも台頭している。これは欧州の政治リスクと捉えることもでき、よって外為市場での欧州通貨売り要因となろう。そうなれば、リスク回避で最も選好されやすいのは円ということになる。原油価格の不安定化で資源国&新興国通貨が売られ、英国のEU離脱リスク(=欧州政治リスク)で欧州通貨が売られれば、クロス円全般で円高圧力が強まろう。ドル高圧力も同時に強まるだろうが、過去の経験則(株安 / 商品安=円高)や米経済失速懸念(=米利上げペース減速懸念)が台頭している点を考えるならば、USD/JPYが110円をトライする土台は徐々に整ってきたと考えている。

【比較チャート①】青ライン:グローバル株式(MSCI) 赤ライン:国際商品市況(CRB指数)

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【比較チャート②】青ライン:米国株式(SP500 赤ライン:米長期金利(10年債利回り)

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