今週のドル相場はまだら模様

Market Overview

5日に発表された1月の非農業部門雇用者数は市場予想(19.0万人)を下回る15.1万人の伸びにとどまったものの、失業率はリーマンショック以来初めて5.0%を割り込み米金融当局が「完全雇用」とみなす水準まで低下した。また、平均賃金も前月比+0.5%(予想:+0.3%)と堅調な伸びとなった。NYタイムのマーケットが「米株下落・金融上昇・ドル高」で反応した点を考えるならば、イエレンFRBによる金融引き締め継続スタンスへの警戒感が各市場で再び意識されたことを示唆している。よって今週の外為市場の焦点は、これまでのドル売り地合いに変調が見られるかどうか、この点が焦点となってくるだろう。

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Analyst's view

結論から言うと、今週のドル相場はまだら模様の展開になると筆者は想定している。具体的には、対資源国通貨ではドル相場が底堅く推移するも、対円&ユーロではドル安優勢で推移するという想定だ。ドル相場が底堅く推移した場合、真っ先に影響を受けるのは国際商品市況、特に原油相場だろう。5日のNY原油先物価格(WTI)は標準誤差回帰分析バンドの中心線でレジストされる状況が継続中(WTIチャート参照)。直近のドル安をもってしてもこのラインを突破できずいる要因は、原油安の根本的な問題である供給過剰状態が一向に改善されるムードが感じられないからだろう。原油価格の反発は産油国間での減産合意にかかっていることはこのレポートで再三指摘してきたが、先々週にロシアサイドからもたらされた「2月協調減産協議」については一向に進展が見られず、市場は減産合意について懐疑的となっている。また、イランが増産(=日量50万バレルずつ2回に分け、計100万バレルを増産)の方針を示す等(アリ・タイエブニア経済財務相)、むしろ原油価格を押し下げる要因に事欠かない。減産合意がない中でドル高となれば、外為市場で最も売り圧力に曝されるのは資源国通貨となろう。原油価格との相関性が高いロシアルーブル、1月の雇用統計が冴えない内容となった加ドル、そして中国経済との結びつきが強い豪ドルでの軟調地合いが想定される。一方、原油輸出国ではあるものの純輸入国でもあるマレーシアリンギットやインドネシアルピアの下落幅は、中国市場が旧正月で休場ということも合わさり前者3通貨と比較すれば下落幅は限られる可能性があろう。

原油価格に対する下落圧力が続く限り、グローバル株式市場での不安定化も継続しよう。両市場の不安定な状況が米金利上昇圧力の相殺要因になることを考えるならば、対円&ユーロでのドル相場の反発は限定的となろう。イエレンFRB議長が下院・上院の議会証言(2/10&11日)で利上げに向けタカ派的な発言をしたとしても、グローバル市場が不安定化しているタイミングでのタカ派発言はさらなるリスク回避圧力を強める可能性がある。ドル相場は一時的に反発するだろうが、上述した状況(原油価格下落→グローバル株式不安定化→米金利への低下圧力強まる)がより意識されることで、対円&ユーロではドル売り優勢へ転じることが想定される。

【WTI原油先物チャート(日足)】標準誤差回帰分析バンド

WTIチャート

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