ドル安はリスク選好回帰の鍵とはならない

Market Overview

3日の海外外為市場は「強まる米景気先行き不透明感→イエレンFRBによる利上げペースの減速観測」を背景に米ドル安の展開となった。さらに昨日は原油先物相場の急反発もあり、対資源国通貨でドル売り圧力が強まった。米ドルは豪ドルに対して約1.90%、加ドルやノルウェークローネで約2.00%そしてロシアルーブルでは約3.75%下落する展開に。対資源国通貨全般での米ドル売りは対円&ユーロにも波及。NYタイム序盤から半ばにかけては米国株式が軟調地合いで推移したこともありUSD/JPYは117.05レベル、EUR/USDは1.1146レベルまで米ドルが急落する展開となった。ただ、取引終盤にかけ米国株式が反発へ転じると米ドル売り圧力は後退。ショートカバーを背景にUSD/JPYは118.00前後、EUR/USDは1.11を挟んで本日の東京時間を迎えている。

米ドル

Analyst's view

3日の原油先物相場はドル安を背景に急反発。それが米国株式と資源国通貨の押し上げ要因となった。一見すると、ドル安がリスク選好回帰の鍵を握っていることを示唆する値動きのように見える。

では、このままドル安が進行すればFEDサイドが警戒しているドル高リスクが後退することで、グローバル市場はリスク選好へ回帰するのだろうか?筆者の答えは“”ノー“だ。現在の米ドル安が短期的に行き過ぎたポジション調整(=資源関連アセットの巻き戻し)要因とはなっても、中長期的にはリスク回避要因と市場は捉える可能性が高いからだ。その理由はドル安の背景ある。確かに、過去を振り返ると「米ドル安=リスク選好」が確認出来る局面はあった。しかし、その背景にあったのは世界金融危機後の金融緩和とそれに伴う米国経済の堅調な拡大だった。だが、現在の米ドル安の背景として意識されているのは米国経済の変調、つまりこれまでの拡大局面が終了し徐々に後退局面へ入る可能性(リスク)だ。事実、今年1月以降に発表された各種指標データは、昨年後半から米国経済が急速に減速している兆候を示唆する内容が続いている。それに呼応するように米国債券市場では、グローバル市場全体が波乱の幕開けとなった年明けより前の昨年12月後半から各ゾーンの利回りが低下し始めていることは興味深い(下図比較チャート参照)。

また、原油先物相場は今後も上下に振れる不安定な状況が継続しよう。原油安の根底にあるのはドル高リスクではなく供給過剰懸念だからだ。未だ産油国間での減産合意はなされず、米国内の原油在庫は5億バレルを超え、さらに米国とイラン産の原油が今後市場に出回ることも考えるならば、減産合意無しでの反発余地は限られよう。事実、昨日のWTI価格は急反発したが、重要レジスタンスポイントである38ドルどころか標準誤差回帰分析バンドの中心線すら未だ突破できずにいる(下図WTI日足チャート参照)。

【比較チャート:米金利】赤:30年債利回り 紫:10年債利回り 黄:2年債利回り 青:5年債利回り

us yield

【WTI日足チャート】標準誤差回帰分析バンド

WTIチャート

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