さらに強まる原油の過剰供給懸念

Market Overview

15日の海外市場はリスク回避一色の展開となった。中国の景気減速懸念、原油価格の低迷そして冴えない米指標データを背景に米国株式ではダウ平均及びS&P500が昨夏の中国リスク時以来となる安値水準まで急落。欧州&新興国の各株式も軒並み総崩れの状況となった。
世界的な株安の連鎖は外為市場での円高圧力を強め、USD/JPYは15日NY時間に116.50レベルまで下落する局面が見られた。一方、リスク回避局面ではユーロ買い圧力も強まり、EUR/USDは1.0985レベルまで上昇。しかし89日MAに上値をレジストされると、その後は利益確定売りに圧され1.09前半まで下落する展開となった。

尚、年明けから市場の攪乱要因となっている原油相場だが、NY原油先物(WTI)は3日ぶりの大幅反落。期近の2月物は、一時29.13ドルと2003年11月上旬以来の水準まで低下した。

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Analyst's view

上記の通り原油先物相場は、約12年2カ月ぶりの低水準まで落ち込んでいる。そしてこの傾向は、イラン情勢を背景に少なくとも3月まで続く可能性があることを15日のレポートで指摘した(OPEC総会次第では3月以降も原油相場の不安定化が続く可能性あり)。

そのイラン情勢だが、米英仏独露中の6か国は16日、イラン核開発問題を巡る最終合意の履行を宣言し同国への制裁を解除すると発表した。制裁解除はイラン産原油が市場に出回ることを意味する。イランの原油産出量は世界第7位(1日あたり355.8万バレル)と、世界最大の産出国であるサウジアラビア(同1,152.5万)の31%程度しかない。しかし、過剰供給懸念が意識される中、40年ぶりとなる米国の原油輸出解禁を決定したタイミングでのイラン産原油の市場流入は、その懸念をさらに強める要因となろう。

また、新たな懸念は供給サイドだけではない。需要サイドでも原油相場をさらに押し下げる新たな懸念が台頭する可能性がある。それは、米国経済の動向だ。先週の米指標データは尽く市場予想を下回った。1月4日に発表されたISM製造業景況指数の落ち込みも鑑みるに、海外リスクがいよいよ米国経済にまで波及し始めた可能性があることを示唆している。今後も米指標データが市場予想を下回り続ければ、中国のみならず米国における原油需要の後退懸念を市場の想起させよう。

原油市場が落ち着くには、大幅な減産が最も効果的な対策だが、この点に関してもサウジアラビアとイランの断交状態を考えるならば、石油輸出国機構(OPEC)の足並みが乱れることで減産合意に失敗するリスクがあることは、15日のレポートで指摘した通り。

上記の状況を踏まえるならば、外為市場では原油相場の不安定化とそれに伴う株式市場の乱高下を背景に、3月まではリスク回避の展開に警戒する必要があろう。USD/JPYは116円割れを想定している。また、クロス円では資源国通貨と新興国通貨での下落幅拡大を想定している。
 

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