リスク選好と回避の綱引き状態

Market Overview

13日の海外市場は再びリスク回避ムード優勢の展開となった。欧州株式は総じて堅調に推移。2月の中国貿易統計が予想されていたほど悪化していなかったこと、そしてアジア株の堅調な値動きが好感された。
一方、米国株式は根強い国際商品市況への警戒感を背景に大幅反落。ダウ平均は2015年9月下旬以来となる16,151ポイントまで下落。S&P500種株価指数も2015年9月30日以来となる1,900ポイント割れで取引を終了した。米株の下落は米金利の低下圧力を強め、金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.90%割れの局面が見られた。一方、10年債利回りは、2015年10月下旬以来となる水準(2.04%レベル)まで低下した。

海外時間の円相場は、欧州タイムでは円売り優勢、NYタイムでは円高優勢と欧米株式の動向に左右される展開となった。USD/JPYはロンドンタイム終了後に円高圧力が強まり、118.35レベルから117.65レベルまで下落。クロス円も同様の展開となった。また、リスク回避局面ではユーロ買い圧力も強まり、EUR/USDは1.08台を維持すると1.0890手前まで反発した。

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Analyst's view

比較チャート①は、昨年6月の上海株式急落を起点とした日米欧中の各国株価指数の変化率を比較したチャートだが、内需縮小を背景とした中国株式(=上海株式)のパフォーマンス急低下は一目瞭然(リスク回避の先導役)。次いでその低下が目立つのが欧州株式(=ストック50)。2015年11月以降から日米株式との乖離が広がっている点を考えるならば、従来のデフレリスクと中国リスクに加え、米金融引締めリスクやフォルクスワーゲン問題を背景としたドイツ経済への先行き不透明感が、ドラギECBによる量的緩和以上に意識されていることを示唆している。パフォーマンスの低下幅が一番小さいのが日米株式。しかし、日本株(=日経225)は米国株式(=S&P500)にトレンドが左右されやすい現実を考えるならば、現下、リスク選好の先導役を果たせるのはやはり米国株式以外にないだろう。

その米国株式だが、相変わらず国際商品市況に振り回される状況が継続中。比較チャート②は、2015年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のCRB指数、米10年債利回り、米国株式そしてドルインデックスの各パフォーマンスを比較したチャート。まず注目すべきは、昨年12月下旬を境にして前者3つの市場での相関性が強まっていることだろう。この動向は、12日のレポートでも指摘したように、国際商品市況の低迷は新興国経済のみならず米国経済の減速要因でもある、との懸念を市場が想定していることを示唆している。
そしてもうひとつ注視すべきは、ドルデックスと他3市場との乖離だろう。外為市場では、ドルの売り買いが交錯するも安定的にドル高基調を維持しているため、他の3市場との乖離が拡大傾向にある。これが意味するところは、現下のドル高はリスク要因として捉えられているという事実だろう。12日のレポートでは好調な米四半期企業決算と米株高がリスク選好回帰の鍵と指摘したが、現在の相場状況では株高に伴いドル高トレンドが加速すれば、皮肉にも米株高の影響を相殺してしまう可能性がある。やはりリスク回避の先導役である中国リスクが後退しない限り、株高にもドル高にも限界があることを2つの比較チャートは示唆している。

【比較チャート①】緑:米株   黄:日本株 青:欧州株 赤:中国株

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【比較チャート②】緑:ドルインデックス   黄:米株 青:米10年債利回り 赤:CRB指数

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