短期的なドル相場反落リスクに要注意

アナリストの視点-ドル高と米株高が同時発生

トレーダー

5日の海外外為市場はドル高優勢の展開となった。この日発表された7月の米ISM非製造業指数は60.3と、2005年8月以来の高水準となった。これを受け9月の米利上げが市場参加者に意識され、米金利に上昇圧力が強まると同時に外為市場ではドル高が加速した。ドルインデックスは、4月23日以来の高水準(高値98.22)まで上昇する展開となった。

昨日のマーケット動向で注目すべき点は、ドル高と米株高が同時に発生した事実だろう。良好な米指標データはファンダメンタルズ改善期待と同時に早期利上げ観測を市場参加者に意識させる。しかし、米国株式市場では利上げへの耐性が付いておらず、この観測が「懸念」として捉えられる状況がこれまで散見されてきた。言い換えればドル高は米株安要因であった。
しかし、イエレンFRB議長をはじめとするここ最近のFEDスピーカーによる利上げへのタカ派寄り発言にもかかわらず、7月以降のドルインデックスと米国株式市場は順(正)相関の関係に回帰する兆しが見え始めている。この点(=順相関の回帰)についてさらに確証を得るためには、良好な米指標データとそれに伴う米金利及びドル相場の上昇を受けて尚、米国株式市場が現在の高値圏を維持するかどうかを確認する必要があるわけだが、想定外に強い内容となったISM非製造業指数(総合で予想レンジの最も高い数値を上回り且つ構成項目の雇用指数 も59.6と、1カ月の上昇幅としては1997年の記録開始以降で最大の伸び)を受けた後の「ドル高・米株高」の同時発生は、米国株式市場における利上げへの耐性が強まっていることを示唆している。明日の米雇用統計(7月分)が強い内容となって尚、米国株式市場が上値トライとなるならば、ドル相場でももう一段上値トライの展開が想定される。

だがそのような展開となった場合、短期的にはドル相場の下落リスク、特にUSD/JPYでの下落リスクを常に想定しておきたい。詳細は下記「本日の焦点」にて。

本日の焦点-短期的なドル売りリスクに要注意

本日も米指標データが良好な内容となり、それに伴う9月利上げ観測の台頭を受けて尚、米国株式市場が上値トライとなればUSD/JPYは125円台への再上昇が最大のテーマとなろう。

だが、シカゴIMM市場で高水準で積み上がっている投機筋のドルロング、年内1回の利上げをマーケットが完全に織り込んできた状況を考えるならば、株高のみではさらなるドル高トレンドを形勢することはできない。それを形勢するためには株高と同時に利上げペースの加速期待が必須条件となるからだ。しかし後者の点に関しては、1回の利上げした後は相当緩慢なペースでの利上げがメインシナリオとなっている。今日と明日の米指標データが総じて強い内容となれば、1回の利上げが9月に実施されるとマーケットで織り込まれよう。その後は上記の利上げペースに焦点がシフトするだろうが、緩慢な利上げペースという観測が後退しない限り、これまで利上げに対する期待先行で進行してきたドル買い圧力が急速に後退する可能性があろう。その場合、短期的なドルロング調整地合いを想定したい(中長期的には株高維持が緩やかな米金利とドル相場の上昇をサポートすると想定)。

また、米国外のリスク要因が米株の反落を誘発する展開も常に警戒しておきたい。米国マーケットが「株安・金利低下」となれば、7月後半同様、ドルロングを調整する動きが、ショートポジションが積み上がっている通貨(円、ユーロ、資源国通貨)に対して加速しよう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 125.45:ボリンジャー上限(σ2.5) 125.12:ボリンジャー上限(σ2.0)
サポート 123.82:21日MA(青ライン) 123.52:7/31安値

「第一黒田ライン」であるリトレースメント76.40%の完全に突破に成功したことで、次なる上値の焦点は125円台への再上昇とその維持となろう。テクニカル面で注視すべきは、ボリンジャーバンドの上限(MA:21)だろう。σ2.0のそれ(緑ライン)が125.10前後、σ2.5のそれ(赤ライン)が125円ミドル手前で推移している。これら上限の突破に成功すれば、年初来高値125.85トライが視野に入ろう。
一方、下値は21日MA(ボリンジャー中心線)の維持が焦点となろう。
尚、直近のオーダー状況だが125.50にはオファー、124.00、123.50前後そして123.00にはそれぞれビッドの観測あり。124.00下にはストップの観測もある。

EUR/USD

レジスタンス 1.1000:レジスタンスポイント 1.0965前後:10・21日MA
サポート 1.0810:7/20・21のサポートポイント 1.0750:サポートポイント

トライアングル下限を下方ブレイク後、戻りが限定的となっている点を考えるならば、引き続きダウンサイドリスクを警戒したい。上下のチャートポイントは昨日と変わらず。
尚、直近のオーダー状況だが1.0995から1.1000にかけてはオファー優勢、1.1020にもオファーの観測あり。一方、ビッドは1.0840、1.0800及び1.0750にそれぞれ観測されている。

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