焦点は米雇用統計とドル高トレンドの明確化

Market Overview -ユーロ安加速

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5日の外為市場は対ドルでユーロ安が進行し、ユーロドルは2003年9月5日以来となる1.10割れの展開となった。欧州中央銀行(ECB)は5日の定例理事会で、主要政策金利を過去最低の0.05%、上限金利の限界貸出金利を0.30%、そして下限金利の中銀預金金利をマイナス0.20%にそれぞれ据え置き、且つ量的金融緩和策(QE)を来週9日より開始することを決定した。
肝心のインフレ見通しについては、2015年が0.0%と12月予想の0.7%から下方修正したものの、16年は1.5%と12月予想の1.3%から上方修正し、17年は1.8%と、景気回復が先行するかたちでインフレ率も徐々に上昇していくとの想定を示した。ただ、今回のQEが16年9月を目途に終了することを考えるならば、それまでにECBが目標とするインフレ率2.0%達成は困難であると示したとも言える。「QE→ユーロ安→輸出増&企業活動の活発化→景気回復→インフレ上昇」という想定された効果が確認できない場合、今後、追加緩和の思惑が台頭する可能性があろう。

ECBイベントを受けた欧州マーケットは、「株高・債券高(金利低下)・ユーロ安」で反応した。筆者は昨日、ECBイベント後のユーロショートカバーを指摘したが、それとは反対の値動きとなった。ECBのQEが想定の範囲内であった点を考えるならば、ユーロドル下落の背景にあるのは、やはり米6月利上げ期待だろう。実際、昨日の米金利は直近の強弱まちまちの米指標データや欧州債利回りの低下圧力を受けて尚、横ばい圏での推移が続いた。6月利上げ観測が再び意識される中でも米株が高値圏を維持している現状も考慮するならば、それに追随し今後米金利がさらに上昇圧力を強める可能性があろう。ドル相場が持続的なトレンドへ向かうかどうか、まずは今晩の雇用統計(2月)で「米株高+金利上昇」がトレンド化するかどうかを確認したい。

Today’s Outlook -米雇用統計後のシナリオ

本日、最大の焦点は米雇用統計(2月)であることは言うまでもない。直近の米金利の動向を鑑みるに、一時後退していた米6月利上げ観測が再び台頭しつつあることは明白。平均賃金も含め総合的な労働市場の改善傾向が示されれば、米金利への上昇圧力が増すことで、外為市場ではドル高圧力が強まろう。問題は米株の動向だが、直近の株高傾向を鑑みるに素直に株高で反応する可能性があろう。この場合、「米株高+金利上昇」がトレンド化することで、ドル高も持続的なトレンド化へ向けドル高圧力がさらに強まろう。

逆に総じて市場予想を下回った場合は、2つのシナリオが考えられる。ひとつは6月利上げ懸念の後退による「株高オンリーのリスク選好」。この場合は、ドル&円売り/資源国通貨&新興国通貨買いの展開となろう。ユーロも対ドルでショートカバーの展開を想定したい。もうひとつは米ファンダメンタルズ改善期待の後退によるリスク回避の展開。この場合、外為市場では円買い圧力が強まる一方、資源国通貨や新興国通貨(特に最近不安定化しているトルコリラや政情不安のブラジルレアル)では売り圧力が強まろう。ドル相場は総じてロングを調整する動きが加速するだろうが、ファンダメンタルズの脆弱な新興国通貨では堅調に推移しよう。株安が原油安を誘発すれば、対資源国通貨でも同様の展開となろう。

Technical analysis highlights

ドル円

レジスタンス 121.00:レジスタンスポイント 120.50:レジスタンスポイント
サポート 119.50:サポートポイント 119.15:21日MA(3/5現在、赤ライン)

上値の焦点は120.50レベルの突破へシフト。このレベルには実需も含めたオファーが観測されている。120.50を完全に突破した場合は、次のレジスタンスポイントは、オファーが観測されている120.80レベル(昨年12月23日高値120.83レベル)そして121.00となろう。尚、後者のポイントにはオファーと上の水準にストップが置かれている。

ユーロドル

レジスタンス 1.1196:リトレースメント38.20% 1.1117:リトレースメント23.60%
サポート 1.0988:3月5日安値 1.0502:2003年3月21日安値

1.10を下方ブレイク。引き続きダウンサイドへ振れる展開を想定したい。次の下値焦点は2003年3月21日安値1.0502となろう。一方、ユーロのショートカバーの展開となった場合は1.12台を上限と想定し、目先は1.1115前後での攻防に注目したい。このレベルには昨日安値からの23.60%戻しが位置している。尚、1.12下には38.20%戻しが位置している。このレベルにはオファーも観測されている。

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