ドラギECB、サプライズを提供するか

Market Overview-ECB理事会前にリスク回避ムードは後退

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欧州中央銀行(ECB)理事会を前にリスク回避ムードの後退が継続。欧米株式はドラギECBによる緩和強化期待を背景に続伸。主要な新興国株式も軒並み底堅い展開となった。また、これまでリスク要因として捉えられてきた原油価格(NY原油先物3月限)が、減産期待を背景に大幅に反発(前日比+2.82%)したことも株高をサポートした。

世界的な株高傾向は米金利の小幅な上昇を誘発。ドル円はNYタイムに118円台を回復する局面が見られた。ユーロ円やポンド円もNY時間は円安優勢の展開に。一方、ドル相場には明確な方向性が見られなかった。ユーロドルは1.60を挟んだボックスレンジが継続し、対オセアニア通貨ではドル買い優勢、そして対新興国通貨では売り買いが交錯する展開となった。このような状況の中、サプライズを提供したのがカナダ中銀だった。予想外の利下げ(1.00%→0.75%)を実施したことでCAD(加ドル)売りを誘発。USD/CAD(米ドル/加ドル)は1.2070レベルから1.24レベル手前まで急騰する展開となった。

今晩のECB理事会を前にリスク回避ムードが後退している。肝心の緩和内容だが、開始時期が今年3月(以降)、月額購入規模は500億ユーロ、期間については1年間もしくは2016年末との観測報道が出始めている。ここまでのユーロドルや欧州債券市場の動向を鑑みるに、すでにマーケットはドラギECBの緩和強化自体は織り込み済み。よって、事前の予想や観測報道の範囲内であるならば、イベント終了後のあく抜け感から外為市場ではユーロのショートカバー(特に対ドルでのショートカバー)を想定している。ただ、今月25日(日)にギリシャ総選挙が控えている点を考えるならば、ECB理事会後にショートカバーの展開となっても、それは短期で終息しよう。欧州債券市場でも短期的なロング調整相場(コア国の国債利回りが小幅に反発する展開)になると想定している。欧米株式市場でも一度利益確定売り優勢となる可能性があろう。上値トライの鍵を握るとすれば、原油価格の続伸と好調な米経済指標だろう。減産期待を背景に原油価格(NY原油先物3月限)が目先のレジスタンスである50.00ドルをトライする展開となり、且つ米新規失業保険申請件数が労働市場の改善を示せば、欧米株式は上値トライの展開となろう。結果、外為市場ではリスク選好を背景とした円安トレンドとなろう。

だが、上述したショートカバーやポジション調整が発生しない事態も想定される。それは、サプライズ的にドラギECBが想定以上の緩和強化に踏み切った場合だ。


Today’s Outlook -ドラギ総裁、サプライズを提供するか

想定以上の緩和強化となればサプライズと受け止められ、ECB理事会直後から「欧州株急騰+コア国国債利回り低下+ユーロ急落」の展開が想定される。

この点に関して筆者が注目するキーポイントは5つ。①バランスシートの拡大目標を現行の1兆ユーロから引き上げ(現時点でのバランスシート規模:約2.2兆ユーロ、目標規模:3兆ユーロ)、②国債買入れに関してはすべての年限をターゲットにする、③日銀と同様に国債以外も買入れ対象に入れる(株式ETF等)、④流動性逼迫懸念(3年物LTROの満期)を意識し来月より緩和強化開始、⑤買入れ期間は事実上無制限とする。ドラギECBがこれらの手段に打って出るならば、欧州マーケットは上記の反応を示そう。また、米株は主要な新興国株価指数も軒並み上値トライの展開が想定される。外為市場では円安トレンドが強まろう。ドル相場は米金利の動向次第だろう。株高に追随し米金利が上昇すればドル高優勢(特にユーロドルとドル円)、逆に「株高オンリーのリスク選好」となれば、資源国&新興国通貨が対ドルで堅調に推移する展開を想定している。



Technical analysis highlights

ドル円

レジスタンス 119.59:76.40%戻し 118.88:61.80%戻し
サポート 117.18:1月21日安値 115.86:1月16日安値

ECB理事会後、株式の動向次第で119円トライの可能性がある。テクニカル面では21日MA(緑ライン)とクロスしているリトレースメント61.80%レベルを突破出来るかが注目される。下値は目先、117円台の維持が焦点となろう。119.00&119.50レベルにはオファーが観測されている。ビッドは117.10-117.00、116.80レベル、116.50そして116.00に断続的に観測されている。

ユーロドル

レジスタンス 1.1884:リトレースメント38.20% 1.1722:リトレースメント23.60%
サポート 1.1460:1月16日安値 1.1370:2003年9月~11月サポートゾーン

ECB理事会後、上下に大きく振れる展開を想定。想定通りの緩和内容となれば、ショートカバーを背景にリトレースメント38.20%レベルをトライする展開も想定される。一方、想定以上の緩和内容となれば1.1460レベルを下方ブレイクし、2003年9月下旬から11月上旬にかけてユーロドルをサポートした1.1370レベルを視野に下落幅が拡大しよう。予想外に緩和見送りとなれば、1.20を視野に急激なユーロの買戻しが発生する可能性がある。

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