イエレンFRBは地ならしに成功 焦点はスコットランド問題へ

Market Overview-地ならしに成功

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米連邦準備理事会(FRB)は、16-17日の日程で開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和縮小の継続を確認するとともに、今後の経済状況次第で利上げに踏み切る姿勢を示した。
今回焦点となっていた「相当な期間(a considerable time)」という文言は維持した一方、政策金利見通し(ドットチャート)は上方修正(2015年:1.125%→1.375%、2016年:2.50%→2.875%)された。また、労働市場に関しては、改善をサポートするだけの十分な底堅さが米経済にはあると指摘。インフレ率についても、目標水準である2%を下回る水準が続く可能性は今年前半と比較しやや後退しているとした。

低金利政策に関して「相当な期間」継続するという文言を残し早期利上げ懸念を抑え込む一方で、着実なファンダメンタルズ改善に伴い金融正常化に向けたプロセスに舵を切るタイミングを見計らっていることを同時に示唆する巧妙な手口に、米国マーケットは「株高+金利上昇」で反応。ドル円はストップを巻き込み約6年ぶりに108円台へ到達すると、高値108.39までドル高/円安が進行。そして本日早朝には108円ミドルの突破に成功すると、108.59を付けた。一方、ユーロドルはサポートポイント1.28ミドルを下方ブレイクし、1.2835レベルまで下落した。

今回のFOMCで金融引き締めに向けた地ならしに成功したイエレンFRBだが、それを如実に示しているのが米金利の上昇幅が限定的だった点だろう。金利変動リスクの高まりは高値警戒感が強まっている米国株式の下落リスクを高める要因だが、その2つのリスクを硬軟織り交ぜた声明によりひとまず封じ込めることに成功したことで、円相場はドル円がドライバーとなり、中長期的に円安をけん引していく可能性が高まったと言える。懸念は中国リスクだが、日米の将来の金融政策の方向性の違い、米国の経常収支の改善傾向(2005年:対国内総生産(GDP)比率で6.2%と過去最高を記録→2014年Q2:対国内総生産(GDP)比率で2.3%まで低下)と対照的な日本の経常収支の悪化傾向を考えるなら、中国リスク等を背景としたポジション調整による円高が節目の水準やテクニカルポイントで散見されても、中長期的にドル高/円安トレンドを辿る予測に変更はない。一方、ユーロドルでは1.3994からのリトレースメント61.80%レベル、もしくは重要サポートポイント1.2750レベルを可能ブレイクする展開を想定している。


Today’s Outlook 焦点はスコットランド独立問題に

今週は2つのリスクイベントがある。ひとつは上述のFOMCだったが、イエレンFRBの巧妙さによりひとまず早期利上げ懸念を封じ込めることに成功した。
よって、マーケットの焦点はもうひとつのリスクイベントであるスコットランドの独立問題に集中しよう。直近の世論調査(ICM、YouGov)を確認する限り、現時点でスコットランド住民投票の結果を予測するのは極めて困難な状況となっている。連邦体制維持ならば、外為市場ではポンドを買い戻す動きが強まろう。米早期利上げ懸念が一時的に後退していることもあり、英FTSEも堅調に推移しよう。

よって、焦点はスコットランドの独立が決定した場合だが、政治リスクに加え、英国の財政リスクと経常収支の悪化懸念等を考えるなら、やはりポンド急落という事態を想定すべきだろう。特に米ドルに対しては節目の1.60を視野に下落幅を拡大させる可能性が高い。ドル円でのドル高/円安が継続すると想定した場合、ポンド円は株式動向次第でトレンドが左右されよう。


TECHNICAL ANALYSIS HIGHLIGHTS

ドル円

レジスタンス 109.50:ボリンジャー上限(σ:+2.5) 109.00:レジスタンスポイント
サポート 108.00:サポートポイント 107.13:9月17日安値

108円台へ到達後も反落することなくドル高/円安トレンドを維持している状況を鑑みるに、さらなる上値トライの状況を想定すべきだろう。108円ミドルの突破に成功していることで、次の焦点は109円のトライ。テクニカル面ではボリンジャーバンドの上限(σ:+2.5)が焦点となろう。一方、下値は107円台の維持が焦点となろう。


ユーロドル

レジスタンス 1.2916:10日MA 1.2900:レジスタンスポイント
サポート 1.2800:サポートポイント 1.2788:リトレースメント61.80%

リトレースメント61.80%の1.2788が焦点に。下方ブレイクした場合は、重要サポートポイント1.2750トライとなろう。一方、上値は1.29前半で推移している10日MAのトライが焦点となろう。尚、朝方のオーダー状況を確認すると、1.2800&1.27ミドルに厚いビッドとオプションバリアが観測されている。

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