トレンドを左右する米国景気動向

Market Overview-市場安定化の鍵は米国経済指標に

先週の主要株価指数の週間騰落率を確認すると、米国株式ではダウ工業株30種平均が約1.5%の上昇、S&P500種株価指数も約1.4%上昇と、底堅さを保った。また、ウクライナ情勢で不安定化していた欧州株式もロシアRTSを筆頭に反発。欧米株式が堅調に推移したことで、インドネシアを除く主要な新興国株式も総じて堅調な一週間となった。しかし、今後のウクライナ情勢や中国の経済動向次第では、グローバル株式市場でのリスク「オン」と「オフ」の綱引き状態は継続する可能性があろう。   

その可能性を高めてしまったのが、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。イエレン新議長は初の記者会見の場で、現行の緩和縮小終了時期と、その後到来する利上げの時期に言及した。特に後者については量的緩和第3弾(QE3)の終了後、声明では「相当の期間」としていたところを、「6か月後」の可能性と具体的に指摘。QE3の終了が今年秋頃と仮定するなら、来年前半にも連邦準備理事会(FED)が利上げに踏み切る計算となることから、マーケットは早期の利上げを意識せざるを得ない状況に陥ってしまった。

3月のFOMCで判明したことは、イエレン議長は期待されていたようなハト派ではないこと、そしてフォワードガイダンスの度重なる修正により、その重要性が低下したことである。よって、マーケットは具体的かつ客観的な数値に基づき、今後の米国経済の状況に神経を尖らすことになろう。具体的かつ客観的な数値とは、当レポートで事あるごとに指摘している米国の経済指標であることは言うまでもない。

今週は住宅関連指標、10-12月期実質国内総生産(GDP)確定値そして2月の個人消費支出(PCEコア・デフレーター)が発表される。個人消費に大きな影響を与える住宅市場の改善傾向が示され、GDPが市場予想以上ならば、異例の寒波による米経済の失速は一時的な現象であるとの思惑が強まろう。そして米国株式は史上最高値圏を維持する可能性が高まろう。米国株式が堅調さを保つ限り、早期利上げを意識した米金利の動向が、リスク要因として捉えられる事態は避けられよう。

問題は、これら経済指標が総じて下振れた場合だ。FEDによる早期利上げリスクが台頭し始めているタイミングで、米国の景気回復に対する期待感まで後退すれば、米国株式が徐々に崩れる可能性が高まろう。リスク選好の先導役である米国株式で不透明感が強まれば、他の主要な株式市場も不安定な値動きとなろう。特に新興国株式の不安定化を招く可能性が高まろう。これはウクライナリスクに直面し続けている欧州株式にも言える。

そして米国経済指標とそれに対する米国株式の動向は、円相場にとっても重要なファクターであり続けよう。米国株式市場は他の主要な株式市場のトレンドを左右し、グローバル株式市場のトレンドは、円相場のトレンドを左右するからだ。

今日のチャート

ドル円
ユーロドル

 

Today’s Outlook -中国&欧州経済指標

本日、米国の経済指標は予定されていないが、中国&欧州の経済指標の内容次第で、豪ドル相場やユーロ相場が上下に振れる可能性があろう。
アジア時間には、3月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。直近の経済指標は中国の成長モメンタムの減速を示唆する内容が続いている。冴えない経済指標の内容が続けば、中国からの資本流出懸念を背景に人民元と中国株式を押し下げる可能性があろう。そのような状況となれば、アジア市場全体へリスク回避ムードが広がることで、円を買い戻す動きが強まろう。  逆に市場予想以上ならば、中国株式を下支えすることで外為市場でもリスク選好優勢(豪ドル買い、円売り)の展開となる可能性があろう。
一方、欧州時間では、仏・独・ユーロ圏の各種PMI指数速報値が発表される。米欧の金融政策のコントラスト(方向性の違い)が鮮明になる中、総じて冴えない内容となれば、ユーロドルの下落要因となろう。逆に市場予想を上回る内容となれば、ユーロ買い圧力が強まると思われる。だが、節目の1.40を前に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロ高をけん制したこと、FOMC後マーケットの耳目がFEDの金融政策に神経質になっている点を考えるなら、経済指標の結果を受けユーロ買い圧力が強まっても、今後上値は限定的となる可能性がある点には注視しておきたい。

 

 

Today's Chart Point

ドル円

レジスタンス 103.00:レジスタンスポイント 102.48:一目/基準線(日足)
サポート 101.00:一目/基準線(週足) 100.75:2月4日安値

→日足の一目/基準線(黄ライン)を完全に上方ブレイクすれば、103.00が視野に。テクニカル面では103.30前後で推移しているレジスタンスラインを突破出来るかが注目される。一方、下値は目先、102円台の維持が焦点となろう。だが、テクニカル面では週足の基準線維持が注目される。このテクニカルを下方ブレイクした場合は、100.75が次のサポートポイントとして浮上しよう。

ユーロドル

レジスタンス 1.3845:3月20日高値 1.3810:3月21日安値
サポート 1.3749:3月20日高値 1.3721:3月6日安値

→ユーロのショートカバーが継続した場合の焦点は、1.3850レベルの突破だろう。だが、ユーロ安・ドル高トレンドが徐々に強まる中では、下値の焦点により注視したい。目先は1.3750レベルでの攻防が注目されるが、米欧の金融政策のコントラストが意識されることで、3月6日安値レベルまでユーロ安・ドル高が進行する可能性も意識しておきたい。

 

※筆者の都合により、3月25日(火)~31日(月)の間、「今日のファンダメンタルズ」および「今日のテクニカル」は休載します。
次回配信は、4月1日(火)からとなります。お客様におかれましては、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

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