「綱」はリスクオフへ

Market Overview-リスクオフに引き寄せられる「綱」

13日に発表された米国の小売売上高(2月)は、コア(自動車やガソリン、建設資材、飲食業除く)も含め市場予想を上回り、新規失業保険申請件数も31.5万件と、市場予測の33万件前後を下回る等(4週間移動平均も前週から6250件減)、総じて好調な内容となった。筆者は、米国の景気回復に対する期待感が現在のマーケットにおいて唯一のリスクオン要因と述べ、その期待感が強まるも後退するも米国の経済指標次第とも指摘した。

しかし、昨日の海外時間は好調な米国の経済指標を尽く無視し、これまでリスクオンの先導役を担ってきた米国株式は急落。そして欧州&新興国株式も同様の展開となれば、米国債は続伸(金利は低下)し、金先物も4日続伸する等、綱引きの「綱」が一気にリスクオフへと引き寄せられる展開となった。

3月上旬にはリスクオン優勢の状況が垣間見え、その後「綱引き状態」へとマーケットのムードが変化し、ついにリスクオフ優勢となった背景には、2つのリスク要因で不透明感がさらに増したことがある。ひとつは、再び緊迫度合いが増してきたウクライナ情勢だ。上院歳出委員会に出席したジョン・ケリー米国務長官は、ウクライナ南部のクリミア自治共和国にてロシア編入の是非を問う住民投票が16日に実施されるならば、米国と欧州連合は17日にも「重大な措置」と取ると発言。14日にはロンドンでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談が予定されているが、溝が埋まるどころか米ロ間の対立がさらに激化すれば、来週以降も「ウクライナリスク」を背景に欧州株式は軟調な地合いとなろう。そして欧州投資家のリスク許容度がさらに縮小すれば、ファンダメンタルズの脆弱な新興国市場へもネガティブインパクトが波及しよう。

そしてもう一つのリスク要因は、中国における成長モメンタムの減速が実際の経済指標(数値)で示唆されたことだ。冴えない貿易収支の結果に続き、昨日発表された鉱工業生産(2月)や小売売上高(同月)も尽く市場予想を下回る内容となった。今後、全国人民代表大会(全人代)で示した改革姿勢を貫けば、成長モメンタムの減速が長引く可能性もあり、中国の景気動向は今後もリスク要因と捉えておくべきだろう。特に、同国の景気減速懸念は資源需要の後退観測を強めることから、豪州や資源輸出に頼る新興諸国(銅産出国のチリ等)の経済にとってはネガティブ要因となろう。

今日のチャート

ドル円 出所:ProRealTImeチャート
ユーロドル 出所:ProRealTImeチャート

 

Today’s Outlook-ウクライナ情勢に注視

本日も卸売物価指数(2月、PPI)やミシガン大学消費者態度指数(3月、速報値)といった米経済指標が発表される。昨日同様、市場予想を上回る内容が続けば、米国株式が買い戻される可能性があろう。それによって、他の主要な株価指数でも下落圧力が後退する可能性がある。

しかし、ウクライナ問題の解決を図るためロンドンで米ロ会談が予定されていること、ロシア編入の是非を問う住民投票が予定通り16日に実施される可能性があること、それらの結果次第でウクライナ情勢がさらに混迷の度合いを深める可能性があることも考えるなら、本日はリスクオフムード(株安・円高)優勢の一日となる可能性が高い。

 

Today's Chart Point

ドル円

レジスタンス 102.86:3月13日高値 102.00:レジスタンスポイント
サポート 101.20:3月3日安値 100.75:2月4日安値

→13日は 大陰線が出現。厚いビッドが観測されている101円ミドルレベルで反転したものの、明らかにダウンサイドリスクが強まっている。目先は101円台の維持だが、チャート上の重要サポートポイント100.75レベルを再び視野に入れる展開を想定しておきたい。このレベルを維持出来るならば、緩やかなドル高・円安トレンドが継続しよう。逆に下方ブレイクする展開となれば、節目の100円を目指す可能性が高まろう。上値は、102円台へ再上昇出来るかどうか、まずはこの点を確認したい。尚、102.00&102.60レベルにはオファー、101.50、101.00そして100.80レベルにはビッドがそれぞれ観測されている。

ユーロドル

レジスタンス 1.3967:3月13日高値 1.3915:3月7日&12日高値
サポート 1.3843:3月12日安値 1.3800:サポートポイント

→重要レジスタンスポイント1.3915レベルを上方ブレイクするも、ローソク足の実体ベースでの突破には失敗。 よって、本日はNYタイムの引けで1.3915を越えられるかが焦点となろう。下値は、1.38台を維持できるかが注目される。1.39後半にはオファーが断続的に並んでいる。ビッドは1.3850から1.3800にかけて観測されている。

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