リスクオン加速の鍵は米雇用統計に

Market Overview-リスクオン回帰の兆し強まる

欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で、大方の予想通り政策金利を過去最低の年0.25%で据え置くことを決定。焦点は、ECBが初めて示す長期のインフレ見通しだったが、ドラギ総裁はインフレ率が2016年10-12月(第4四半期)には1.7%程度(ECBが目標値と定める年間の物価上昇率2%付近にほぼ一致するインフレ率)まで上昇すると指摘し、域内のデフレリスクが徐々に後退していく見通しを示した。また、一部で指摘されていたSMPの不胎化停止に関しても、同総裁が否定的スタンスを表明した。概して、マーケットで警戒されていたハト派スタンスが見られなかったことで、ユーロドルは1.3833レベル、ユーロ円は141.30レベルといったそれぞれの重要レジスタンスポイントを突破する等、ユーロ高圧力が強まった。

しかし、注目すべきはユーロ相場よりも、主要な欧州株価指数の動向だろう。脆弱なファンダメンタルズ(高い失業率、低インフレ等)にも関わらずECBが追加緩和を見送ったことに加え、オバマ米大統領がロシアに対して資産凍結や査証(ビザ)の発給制限、そして米国への渡航禁止などを柱とする制裁措置を発動する等、ウクライナを巡る大国間の駆け引きが激しさを増している中でも、6日の主要な欧州株式は軒並み上昇した。一方、欧州債券市場では、上記のECB理事会の動向や株高を受け、安全資産である独連邦債利回りが上昇。ウクライナリスクを内包しながらも、明らかにリスクオンへ回帰するムードが感じられる。

だが、リスクオン回帰を真にけん引しているのは、このレポートで再三指摘してきたように米国経済だ。昨日発表された新規失業保険申請件数は32.3万件と、前週の34.9万件から減少。労働市場の改善傾向が示されたことで、米国株式ではダウ工業株30種平均が1月17日以来、約1カ月半ぶりの高値水準で取引を終了。S&P500種株価指数に至っては、終値で最高値を更新した。好調な米経済指標の結果を受け、米債券市場では2年債、10年債そして30年債の利回りがそれぞれ上昇した。米国株式が史上最高値圏を維持する限り、水面下でマグマのようにくすぶり続ける新興国リスクが噴出することはないだろう。また、この状況が続く限り、外為市場では株高を基軸とした円安トレンドも継続するだろう。

今日のチャート

ドル円 出所:ProRealTImeチャート
ユーロドル 出所:ProRealTImeチャート

Today’s Outlook -注目の米雇用統計

米国株式が史上最高値圏を維持できるかどうか、その鍵を握るは、今晩発表される米雇用統計(2月)だろう。非農業部門雇用者数の予想値は15.0万人、失業率のそれは6.6%となっている。市場予想を上回る内容となれば、労働市場の改善が米国の景気回復を促すとの期待感を背景に米国株式は上昇しよう。また、3月18-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)でイエレン氏率いる連邦準備理事会(FRB)がハト派スタンスに傾く可能性も後退することから、米金利には上昇圧力が強まろう。外為市場では、米株高を背景に円売り圧力が強まろう。特にドル円は、米金利上昇によるドル買い圧力が加わることで、昨日の高値103.17レベルを突破し、更なる上値トライの展開となろう。一方、ユーロドルではドルを買い戻す動きが強まろう。

逆に冴えない内容、特に非農業部門雇用者数が3ヶ月連続で市場予想を下振れた場合は、2つのシナリオが考えられる。ひとつは、超低金利政策の長期化が意識されての「米株高・金利低下」。もうひとつは、米景気回復後退懸念が意識された「米株安・金利低下」だ。前者のシナリオでは、クロス円を中心に円売り圧力が継続するだろうが、ドル円の上値は抑えられよう。

問題は後者のシナリオだ。何故ならこの場合、雇用情勢も含めた米経済の失速は寒波による一時的な現象ではなく、新興国リスク等も影響している可能性があること、それ故米経済の失速は予想外に長引くと、マーケットで意識される可能性があるからだ。このような思惑が強まった場合は、リスク回避の円買い圧力を強めよう。


Today's Chart Point

ドル円

レジスタンス 103.65:リトレースメント61.80% 103.49:一目/雲の上限
サポート 102.30:21日MA 102.00:サポートポイント

→ドル円はついに重要レジスタンスポイント102.80レベルの突破に成功した。次の焦点はレジスタンスラインを突破し、103円ミドル前後で推移している日足の一目/雲の上限を突破できるかどうかだろう。上限を突破すれば、リトレースメント61.80%103.65までドル高・円安が進行する可能性がある。下値は、21日MA(チャート画像:赤ライン)での攻防に注目したい。尚、朝方のオーダー状況をみると、103.20レベルにはストップの観測がある。103.50&103.80レベルにはオファーが観測されている。ビッドは102.60、102.20そして102.00レベルにそれぞれ観測されている。

ユーロドル

レジスタンス 1.3900:レジスタンスポイント 1.3894:昨年12月27日
サポート 1.3800:サポートポイント 1.3722:21日MA

→トップサイドは、昨年12月27日高値1.3894レベルを突破し、1.39台へ到達するかが焦点。一方、下値は目先、1.38台の維持が焦点となろう。1.37台の攻防へとシフトした場合、21日MAを維持出来るかが注目される。朝方のオーダー状況だが、1.3895&1.3900にはオファーが並んでいる。ビッドは1.3775レベルと1.3700前後に観測されている。

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