リスク「オン」と「オフ」の綱引き状態に

Market Overview-綱引き状態のマーケット

週明けの米国株式市場で、ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落。S&P500種株価指数も過去最高値から下落した。また、主要な欧州株式、新興国株式のみならず商品市場も総じて冴えない展開となり、債券市場では米債と独連邦債利回りが低下する等、10日のマーケットは総じてリスクオフ優勢の展開となった。

現在、グローバル金融市場はリスク「オン」と「オフ」の圧力が交錯する綱引き状態となっている。「オン」の背景にあるのは、米国経済の回復期待。そして「オフ」の背景にあるのは、緊迫化した状況が続いているウクライナ情勢と景気減速懸念が強まっている中国リスクだが、今後「オン」優勢の状況から「オフ」優勢へと転じるならば、その要因は後者にあろう。実際、中国の冴えない貿易統計が同国の景気減速懸念を台頭させ、強い雇用統計の内容が確認されたにも関わらず10日の米国株式は反落した。また、原油や銅価格も下落する等、資源の輸出依存度が高い豪州や新興国経済への影響が今後は懸念される。

しかし、ここに来て「オフ」優勢の要因となり得る新たなリスク要因として意識されはじめているのが、米金利の急上昇だろう。10年債利回りは先週末の雇用統計発表後、2.75%レベルを一気に突破する等、上昇圧力が強まっている。0.30%台で低空飛行が続いていた2年債利回りも急反発した。史上最高値圏での攻防は続いているものの、上値の重さが否めない米国株式とは対照的に、米連邦準備理事会(FRB)による現行の緩和縮小スピードの維持と利上げを強く意識した米金利の急上昇が今後も継続すれば、マーケットでは米国経済の失速懸念が強まろう。株価の上昇スピードを超える金利上昇のそれは、企業業績にネガティブインパクトを及ぼすからだ。そして、米国経済の失速懸念までが台頭する状況となれば、水面下で燻っている新興国リスクが再び表に噴出し、グローバル金融市場は一気にリスクオフへと傾くだろう。もちろん現在はその状況には陥っていないが、現在の綱引き状態の行方を左右するのは、米国の株式と金利動向にかかっている点は、常に意識しておきたい。


今日のチャート

ドル円 出所:ProRealTImeチャート
ユーロドル 出所:ProRealTImeチャート

 

Today’s Outlook -注目は日銀イベント後

本日の円相場も株式市場にらみの展開となろう。注目は日銀金融政策決定会合後のマーケットの反応だろう。来月の消費増税を控え、一部では根強い追加緩和に対する期待が燻っている。しかし、足元では消費者物価指数(CPI)が日銀のシナリオに沿う形で推移していることもあり、今回も追加緩和を見送る可能性が高いだろう。外部環境(米景気動向、新興国リスク)も考えるなら、出来るだけカードを温存しておきたいとの思惑も日銀内部にはあろう。

だが、米連邦準備理事会(FRB)による現行の緩和縮小スピードが維持され、且つ金融正常化に向かう過程で米金利の上昇リスクが意識されつつある中、新興国市場は不安定化の兆しを見せ始めている。加えて、緊迫化した状況が続くウクライナ情勢や中国リスクまでが意識されているタイミングでの緩和見送りは、投資家のリスク回避姿勢をさらに強める可能性があろう。日銀金融政策決定会合後、日経平均が下落幅を拡大させれば、円相場では円買い圧力が強まろう。そのような展開となった場合のドル円のサポートポイントは、下記の「Today’s Chart Point」を参照されたい。


Today's Chart Point

ドル円

レジスタンス 103.76:3月7日高値 103.65:リトレースメント61.80%
サポート 102.48:一目/転換線 102.26:一目/基準線

→これ以上の上値トライに対する気迷いが、直近のローソク足の形状からうかがえる。レジスタンスの焦点は昨日同様、リトレースメント61.80%と3月7日高値レベルとなろう。オファーは103.50&103.80レベルに観測されている。
一方、日銀イベント後、リスク回避傾向が強まった場合、注目されるサポートポイントは日足の一目/転換線(チャート画像:緑ライン)と基準線(チャート画像:赤ライン)での攻防だろう。これらが位置するテクニカルのレベルではビッドが観測されており、テクニカル&オーダー状況の両面でドル円をサポートする可能性があろう。これらテクニカルを尽く下方ブレイクし、102円台の維持に失敗した場合は、厚いビッドが観測されている101.50レベルまでの反落を想定しておきたい。

ユーロドル

レジスタンス 1.3950:オプションバリア 1.3915:3月7日高値
サポート 1.3852:3月7日安値 1.3800:サポートポイント

→目先は引き続き、3月7日高値レベルを突破出来るかが焦点となろう。このレジスタンスポイントの突破に成功すれば、オプションバリアと厚いオファーが観測されている1.39ミドルを視野にもう一段ユーロ高の展開となろう。一方、下値は目先、1.38台の維持が焦点となろう。ビッドは1.3850以下から1.3800にかけて断続的に観測されている。

※日頃より、弊社マーケット情報をご覧いただきありがとうございます。3月12日(水)は、「今日のファンダメンタルズ」及び「今日のテクニカル」を休載させていただきます。再開は13日(木)となります。お客様におかれましては、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

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