米国ウィークリー 2016/6/28号

不確実性高まるなかでの拠り所

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  • 野球で言えば、「9回裏、得点は3-0で勝利目前、2アウトランナーなしでリリーフ・エースが最後のバッターを仕留めれば試合終了」というところから、「連続ファーボール、逆転満塁ホームランでサヨナラ負け」、サッカーであれば、「ロスタイムに逆転ゴールを許しタイムアップ」といったところであろうか。多くの市場参加者は、英国国民投票によるEU離脱(Brexit)の決定を、急転直下の緊急事態と捉えたことであろう。現実となったテールリスク(想定外の巨大損失をもたらすリスク)、ブラック・スワン(事前予想できず起きた際の衝撃が大きい事象)を、6/24の世界の金融市場は一気に織り込みにいった。為替市場ではポンドが急落し安全通貨とされる円が買われドル、ユーロが下落した。株価や原油価格は急落し、主要国の債券は買われ金利は大幅に低下した。多くの投資家は、EU残留を前提としたポジション設定を進め始めていただけに、巻き戻しの動きは急激となった。
     
  • ただ、6/24の世界のマーケットは、英国国民がEU離脱という選択を決めたことを織り込んだに過ぎない。今後、誰が、いつ、どのような時間軸でEU離脱を進めていくのか、誰も知り得ぬ不確実性が残された状況にあると言えよう。離脱によって得られる定量的、定性的なメリット、デメリットはどのようなものであり、どの程度であるのか?多くの英国民が理解を得ぬまま投票した可能性もある。実際、Googleトレンドによれば、開票結果が判明した翌朝、「EUを離脱したら、何が起きる」という文章の検索が1時間当たり3.5倍に膨れ上がった模様である。更にEU離脱が公式に伝わった後、最も検索された質問は、「EU離脱が意味することは?」、2位が「EUとは?」、3位が「EUの加盟国は?」であった。今になって間違った決断と後悔する離脱派の声も出始め、英議会のウェブサイトに国民投票のやり直しを求める署名は350万人超に急増(日本時間6/27、13時過ぎ)。あまりにも不確実性の大きい混沌とした状態(カオス)に陥ったと言えよう。不透明感が強まる一方で、拠り所となるのは業績動向や株価指標などのデータである。銘柄選択においてはディフェンシブや金鉱株などを含め、業績拡大が期待される企業をピックアップしたい。(庵原)
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S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(6/24現在)

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■主要イベントの予定
●28日(火):
・1-3月期のGDP(確定値)
・4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数
・6月の消費者信頼感指数
・6月のリッチモンド連銀製造業指数
・EU首脳会議(6/29まで、ブリュッセル)
●29日(水): 
・MBA住宅ローン申請指数
・5月の個人消費支出、所得
・5月の中古住宅販売成約指数
・6月のユーロ圏景況感指数
・イエレンFRB議長が発言
●30日(木):
・新規失業保険申請件数(25日終了週)
・6月のシカゴ購買部協会景気指数
・6月のユーロ圏の消費者物価指数
●7月1日(金):
・中国6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)
・中国6月の財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
・5月の耐久財受注
・5月の建設支出
・6月のISM製造業景況指数
●7月4日(月):
・6月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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フィリップ証券リサーチ部アナリスト袁鳴
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