米国ウィークリー2015/09/08号

“マーケットを惑わす雇用統計と今後の展望”

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・米国株は当面不安定な展開となりそうだ。9/4発表の8月の雇用統計は、市場参加者が9月利上げを確信するに足るデータではなかった。中国発の世界的な金融の混乱もあって9月のFOMC(9/16-17)で利上げが実施されるとの市場の見方は大きく低下している。しかし、堅調な労働市場のデータも確認されたため、マーケットの先行き不透明感は依然残ったままである。

8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比17.3万人増と市場予想の同21.7万人増を下回った。一方で6、7月分は上方修正され合わせて上方修正幅は4.4万人となった。2014年年初来の平均値でみると同24万人増強と節目の同20万人を大きく超えており、良好な状況と言うことができよう。また、FRBが重視する賃金は平均時給が前月比0.3%増(市場予想と7月の実績は同0.2%増)、前年同月比では2.2%増(市場予想と7月の実績は同2.1%増)と市場予想及び7月実績を上回った。賃金上昇率は緩やかながら上昇トレンドを維持している。失業率は5.1%と市場予想の5.2%に比べ良好で、7月の5.3%からも大きな改善を示した。2008/4以来の水準まで低下している。

・米国内のデータ動向で判断すれば9月利上げの蓋然性は高まるが、中国の動向や新興国市場の株式市場や為替動向への影響を考慮すれば、実施は難しくなる。トルコで9/4-5に開催されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)では、米国の利上げや中国経済動向の懸念が取り上げられた。議長役を務めたトルコのユルマズ副首相は、FRBによる利上げが新興国経済にどの程度影響が及ぶかわからないとコメント。声明に米国の慎重な対応を求める内容が盛り込まれ、FRBは難しい選択を迫られている。

また、懸念が示された中国経済に対して中国人民銀行の周小川総裁は経済ではなく「株式市場」のバブルが弾けたと発言。今回のG20では先進国や中国などでの金融政策の方向の違いなどから、連携を示すことはできなかった。しかし、世界各国の関心が高い中国について踏み込んだ議論や牽制ができたことについては、一定の成果があったと言えよう。まずは、米国の利上げ時期の見方が固まってくれば、市場は徐々に安定感を取り戻そう。(庵原)


S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(9/4現在)


主要イベントの予定

●8日(火):
8月の労働市場情勢指数(LMCI
7月の消費者信用残高
・米上院、イラン核合意について審議開始
中国8月の貿易収支
●9日(水):
7 月の求人件数
アップルがイベントを開催(サンフランシスコで、新型iPhone の発表か)
世界経済フォーラム夏季ダボス会議(中国大連、9/11 まで)
●10日(木):
APEC財務相会合(9/11まで、フィリピン)
・新規失業保険申請件数(9/4終了週)
8月の輸入物価指数
・7月の卸売在庫
中国8月の消費者物価指数、生産者物価指数、都市部固定資産投資
●11日(金):
8月の生産者物価指数
9月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
8月の月次財政収支
・GEによる仏アルストム事業買収について欧州委員会の判断期限
●14日(月):
国際原子力機関(IAEA)総会(9/18まで、ウィーン)
・EUが移民問題について臨時閣僚会合(ブリュッセル)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

 

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