米国マンスリー2016年3月号

主要国の金融・経済協調体制が試される相場動向

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求められる共同の景気対策

2/18、OECDは世界経済見通しを引き下げた。多くの新興市場国の成長率鈍化や先進国の緩慢な回復が背景。OECDは、一部新興市場は急激な為替変動と高水準の債務残高など脆弱な状況にあり、金融安定へのリスクは大きいと分析している。
OECDは中国・上海でのG20において、現状の金融政策を支援するために、共同での財政による景気刺激を増やすように訴えている。また、米経済はドル高や原油安など逆風が強まっているとしている。3/5からの全人代(国会に相当)で景気対策が打ち出されるか注目したい。(庵原)


【下方修正となった世界経済見通しと期待される景気刺激の協調体制】



鈍化したGDP成長率は回復へ

2015/4Q(10-12月)の米国実質GDP成長率(速報値)は前期比年率0.7%と大幅に減速。暖冬で個人消費が鈍化し、ドル高や原油安、世界経済停滞の影響から在庫投資や設備投資、輸出も減少となった。 一方、2016/1Q(1-3月)の成長率見通しは、Bloombergの市場予想が同2.0%、アトランタ連銀のGDPNowは2/17で2.6%と2/1の1.2%から大幅に上方修正された。何れも個人消費や民間投資が回復し、輸出はプラス転換が見込まれている。米景気動向が懸念される中、今後発表される景気指標が注目される。(庵原)


【2015/4Qに鈍化した米GDP成長率は回復へ~GDPNowは大幅上方修正】



足元マイナスの景気先行指数

リーマン・ショック以降100を割り込んだ米景気先行指数は2009/3に90.5まで低下。その後、緩やかな景気改善から2010/8に100を回復し、2014/12には120台に乗せた。
ただ、2015年半ば以降、同指数の上昇は緩やかとなり、足元では軟化。2016/1の同指数は前月比▲0.2%と2ヵ月連続のマイナス。同指数を構成する10系列のうち4系列がマイナスとなった。株価の下落や失業保険申請件数の増加が要因。また、製造業新規受注や住宅着工許可件数の減少も重しだった。今後の米景気動向に留意したい。(袁)


【景気先行指数に相関して推移するNYダウ】



再び先行き不透明の原油価格

米エネルギー省EIAの短期見通しによれば、世界的な原油供給過剰が2017年半ばまで継続する見通し。供給過剰に伴い2016年のWTI原油先物価格は38USD/バレルに留まると見ている。また、国際エネルギー機関(IEA)の見通しでは、2016年は110万バレル/日の供給過剰を見込んでおり、当面、原油価格は低位での推移が予想される。 イランは増産凍結に応じず、サウジアラビアは産油国の減産合意はないと表明。再び、原油価格の先行きに不透明感が台頭している。原油価格動向が投資家マインドを左右するため、動向に注視したい。(袁)


EIAの予想~2017年半ばまで供給過剰が続く見通し】



足元回復が確認された小売売上

商務省発表の1月の小売売上高は前月比0.2%増と市場予想の同0.1%増を上回った。2015/12は従来発表の同0.1%減から同0.2%増へ上方修正され、足元で小売市場の回復が確認された。
また、全米小売業協会(NRF)は2016年の小売売上高が前年比3.1%増と予想しており、過去10年平均の同2.7%増を上回る見通しである。NRFは世界経済情勢の逆風の影響があるが、賃金の上昇、雇用市場の拡大や消費者マインド改善などが小売売上を押し上げると見る。特に、オンライン販売などの無店舗小売の売上高は同6-9%増を見込み、アマゾン・ドット・コム(AMZNに注目したい。また、好調な住宅動向から業績好調なホームセンターのホーム・デポ(HDを取り挙げたい。(袁)


NRFの予想~安定に推移している小売売上高】



金利低下で好配当銘柄に注目

ECBに続き、日銀もマイナス金利を導入するなど、史上稀に見る世界的な低金利時代に突入している。米国の10年国債利回りも昨年の利上げ以降、2.3%台から足元で1.7%台まで低下している。 
一方で、NYダウ構成銘柄のほとんどが配当利回りでこの水準を上回っている。ファイザー(PFEメルク(MRKは好配当利回りと同時に好業績も期待され、今後の株価動向が注目される。銘柄選択においては、配当利回りに加え、業績動向を確認し投資指標を参考にしたい。(庵原)


世界的な低金利の圧力が米国にも及ぶなか好配当銘柄に注目】



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フィリップ証券リサーチ部アナリスト袁鳴
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